ケーブルカーの大きな特徴が、斜面に合わせて傾いた車体です。御岳登山鉄道の車体は、路線の平均勾配に合わせて設計されています。ちなみに御岳ケーブルカーの勾配は、いちばん急な区間で25度。スキー場なら上級者しか滑れないような急坂です。車内は、お客さんがひっくり返ってしまわないよう階段状になっています。
【豆コラム】
ほとんどの方が「22度ってすごいの?」と思われるでしょう。そこで、水平に撮影された滝本駅の写真を22度の角度で傾けたものをご覧ください。こうしてみると、けっこうすごいでしょう!
ケーブルカーの座席は全部で34席。立席も含めると、乗車定員は115人となっています。もっとも、本当に115人乗ってしまうと通勤ラッシュのように窮屈になるので、通常は余裕を持って100人程度を限度にしています。
御岳ケーブルカーには架線があり、車両にはパンタグラフがついています。普通の電車は、ここから直流1500Vや交流2万Vといった高圧電流を取り入れ、モーターを回して走りますが、御岳ケーブルカーのパンタグラフは車両の照明や細かい機械のためのもの。家庭用コンセントと同じ、交流100Vの電気が流れています。パンタグラフは、最新のシングルアーム式で、2週間に1度、前後の位置を交換して使います。
ケーブルカーの運転は、御岳山駅にある運転室で行うので、車両に運転士は乗車していません。その代わり、安全監視や車窓案内を行う車掌が乗務しています。野生動物が線路に迷い込んできた際など、もしもの場合は車掌が車両を安全に停止させます。